今回は起業家さんに、起業の仕方にまつわる 「知りたかったけど他には載ってない実際のところ」をお届けするインタビュー記事第二弾です!
前回のTAKTOPIA代表、長井さんも大サービスで創業時の裏側までお話して頂きましたが、今回のインタビューもかなりサービスして頂きました。
皆さんは起業する人を特別な人と思っていませんか?
起業を考えても起業の仕方が分からず、ぼんやり考えて終わっていませんか?
社会人の働き方は多様化し、起業なんて考えたことなかった人も起業する日が来るかも知れません。
起業はもう誰にとっても遠い存在ではなくなりつつあるのです。
このシリーズを読んでいただければ、起業を考えたことのない方でも起業のイメージや具体的な起業の仕方を知ってもらうことができます。
起業の実際の苦労やリアルな話を教えてくれる場所はなかなかありません。
だからこそこの記事では普段はお話してもらえない創業時の地道な活動や、ディープな裏話をSIFメンバーが遠慮なく掘り下げ公開します!
今回はタイガーモブ CEOの菊地恵理子さんに登場していただきます!
タイガーモブは「次世代リーダーの創出」をミッションに掲げている創立5年目の企業です。Learning by Doing(実践による学び)”をコンセプトに、海外インターンシップから教育機関向けプログラム、SDGsまで急速に事業を展開しています。
【プロフィール】
菊地恵理子さん タイガーモブ CEO
- 関西学院大学総合政策学部、寿司アカデミー、Lee Kuan Yew School of Public Policy ”ASEAN地政学プログラム”卒
- 新卒で入社した会社で海外インターン事業「AJITORA」を始動
- 約600名の海外送り出し実績を経て、独立
- 2017年全国商工会議所女性会連合会主催女性起業家大賞スタートアップ部門特別賞、EY Winning Women 2018ファイナリスト受賞
タイガーモブ株式会社 / Tiger Mov, Inc.
■ 事業内容:
- オンライン/オフラインでの海外インターンシップ等の実践・探究機会の提供
- 100年先の未来を創る生態系“タイモブコミュニティ”の運営
- 教育機関向けカリキュラム・授業の企画、実施
- 法人向け研修の企画、実施
- 集客支援
- グローバル人材採用支援
■企業サイト:https://www.tigermov.com
【取材】SIF 2名 川上(代表)・RIKUHIRO
起業に至ったきっかけと経緯
もともと起業願望が強くあったわけではなかったという菊地さん。どこでどのような変化があり、起業に至ったのか伺ってみました。
RIKUHIRO:まずは社会問題を解決したいと思ったきっかけと、なぜ起業という道を選んだのか教えてください。
軸が固まっていなかった学生時代
最初に社会問題に関心を持ったきっかけは、中学生のころ初めて家族で行ったセブ島での体験です。
リゾートエリアに宿泊していましたが、街に出て一本外れた路地にはストリートチルドレンがいるギャップを目の当たりにしました。
そのとき「生まれた場所で人生が決まらないように、適切に機会を届けていきたいと思い」という感覚を持ちました。
でも就職活動を始める時期になっても、まだはっきりとどんな社会の課題を解決したいのかは分からなかったんです。
貧困問題も環境問題も大事ですが、考えるべき問題がありすぎて絞りきれていませんでした。
国連職員の道も考えたことはありますが、社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)というビジネスで社会問題を解決する方法があることを知り、あえて苦手なビジネスの分野にチャレンジすることにしました。
海外事業がないなら自分で立ち上げよう!
そこで「解決したいと思えることに出会えた時にすぐに取り掛かれる人材になっていよう」と考え、新卒でベンチャー企業に就職しました。
そのベンチャー企業には国内事業しかなく、私は海外事業をやりたかったので自分で立ち上げさせてもらいました。
当時、海外インターン事業を展開していたのでたくさんの悩みや相談を受けるのですが、その時に後押しすることが多く、でも自分が覚悟持って旗を立ててないと説得力がないなということと事業のスピード感をより速める為、独立しました!
RIKUHIRO:起業する時、恐怖心はなかったですか?
起業の仕方を知らなくても決意した、きっかけは「スピード感」
恐怖心が無かったわけではないし、そもそも絶対に起業したいわけではなかったです。
自分と同じ想いの人がいれば、私は従業員でも良いタイプ。
その気持ちで前職で海外インターン事業を一生懸命やっていたら、ある人から「そんなに頑張ってるなら独立した方がよくない?」と言っていただきました。
その後、当時のベンチャーの人たちの話を聞いていくうちに「この人たちのスピード感半端ない、自分なんてまだまだ全然じゃん。このままのスピード感では追いつけない」
と純粋に思い独立を決意しました。
当時はまだ起業の仕方すら何も分かってない状態でしたが決意しました(笑)
創業の立役者は3タイプのメンター
独立を決意した、と言っても覚悟が揺らいでしまうことはありました。
「私にできるのかな」とか考えて、決めきれなかったりします。
その時はメンターの方が支えになってくれました。
今もメンター的存在の方は3人います。
それぞれのメンターは、”視座を上げてくれる人”、 “無条件に応援してくれる人”、”後押しして決めてくれる人” といった感じで影響を強く受けています。
なぜ株式会社という起業の仕方を選んだのか
学生時代から社会問題に関心があった菊地さん。社会問題を解決する方法にも色々な形があります。それでも株式会社一択だったという菊地さんに、その理由を伺います。
RIKUHIRO:社会問題を解決するならボランティアやNPOという選択肢もあったかと思いますが、ビジネスにしようと思ったのはなぜでしょうか?
私の場合は前職で関わっていた仕事をスピンアウト*する形だったので、NPOや公的機関など含め、他の選択肢は考えていませんでした。
もう一つの理由は、「事業者として利益を出して、サービスを受ける側と対等な立場でやっていかないとお互いの持続的な発展が見られないんじゃないか」という勝手な思い込みもあります。
スピンアウト:新会社は独立もとの企業からの出資支援を受けず資本関係を持たない
起業の仕方で難しかった独立までの道のり
次は大事なお金について切り込んで伺います。独立後はお金についてはあまり苦労していないと話していた菊地さんですが、独立までには色々な苦悩があったそうです。
川上:前職から独立した時はどんなところに苦労されましたか?
悩んだ末に決めた覚悟で全てが動き出した
独立の仕方では会社と色々やりとりしていたら1年くらい経過してしまって、なかなか進みませんでした。
その時、今もタイガーモブの顧問をして下さっている小寺さんに相談にいきました。
小寺さんはすごく親身になってくれて、目の前ですぐ色んな方に電話して独立のサポートをして下さいました。
「覚悟決めなきゃ」と決意が固まったのはこの時です。
会社と関係を持たず完全に1人で始める旨を会社に伝えたところ、1年止まっていた話が3日くらいで進み、「だったら事業はあげるよ」ってなりました。
そのおかげで1ヶ月目から売上があったので、結果的には一番良い形にしてもらいましたね。
川上:起業の段階で関わってくる人はあとで面倒臭いと聞いたことがあるんですが‥
確かにそういうトラブルはよく聞きますね。
創業当時は起業の仕方も分からない私に、色んな方からお手伝いの申し出をもらいました。
でもその本心は色々あると思う。
私は周りの人に聞いて回って、確認するようにしていました。
これがあったから安心して事業をスタートできた!
もう一つ、創業資金に関して助かったことがあります。
当時は東京都の、「女性、若者/シニア起業家支援資金」という融資制度がありました。
それも銀行の担当の方が色々サポートしてくださり、すんなり通りました。
創業時の資本金は100万円を自分で出しましたが、この支援金があったことで安心して始めることができました。
お金まわりをサポートしてくれる人は欠かせない
もともとお金については全くの素人です。
数字とか管理とか苦手なんですよね。
そこは色んな人に頼りながら「菊ちゃん騙されてるよ」「まじっすか!」みたいに修正しながらやっていった感じです(笑)
今はCFOはじめ、COO、事業戦略など頼りになるメンバーと共に事業を進めています。
起業の仕方で特に気になる”人”の話
Webサイトには個性豊かなメンバーが紹介されています。菊地さん流の採用基準、そして意外なヘッドハンティングの方法についてお話いただきました。
それぞれの道を決めた創業期と古田の覚悟
今も海外インターンシップを統括して活躍してくれている古田は、一緒に創業という決意をしてくれました。
当時は右も左もわからない状態でしたが、とにかくやる気だけはあって、内定とか彼氏も捨ててきてくれました(笑)
彼女の全人生を支えるしかないって思いましたね。
有難いことに、当時もう1人手を挙げてくれた友人がいました。
ミーティングも重ね、一緒に登記もした友人です。
でも彼女には別の夢もありました。
「ハーバードに行く事をやっぱり諦められない。お金と時間が必要。だから今の仕事と兼業でやりたい。」
そこで考えたのは古田のことでした。
古田は何もかも捨てて、覚悟を決めてついてきてくれようとしている。
結局この友人とは話し合って、別々の道をいくことにしました。
その後創業は、私と古田、そしてインターン生の3人で始めました。
こうして初期メンバーで始まり、人数が増えた今でもメンバーには本当に恵まれています。
ピンチに現れたスーパーマン
今も私自身が出産とか育児で少し心配しましたが、COOの中村が大活躍してくれています。
彼は家事もしながら仕事もきっちりこなすスーパーマンです。
RIKUHIRO:どうやってそんなスーパーマンをメンバーに入れるんですか?
狙った人は「ロックオン」。菊地式採用方法
中村とは前職の同期ですが、ずっと一緒に働いて欲しいと思って長期的にフォローしていました。
やっぱり思想が近い人って身の回りに多いと思うんです。
だからFacebookと毎日にらめっこして、スクショ撮りまくって、一緒に働きたい!とロックオンした人にはずっとアプローチをかけています(笑)
どんな人と一緒に働きたいかというと、それぞれのミッションと会社のビジョンがつながる人です。
私なら「お祭り状態を作りたい」というミッションがあるように、個人のミッションと「次世代リーダーの創出」という会社のビジョンがどこかで繋がっている人を採用しています。
それがあれば何をしてもズレないので、コレをやれ、アレをやれとは言いません。
どんどん暴れて欲しいけど、それができないと逆に辛くなる会社ですね。
今は人が足りないくらいで、タイモブのメンバーは面白い人がどんどん増えています。
Webサイトにまだ反映できてないけど、もうすぐコーポレートサイトもできるので一気に新メンバーをお披露目できます。
働きやすさと事業の展開の関係
タイガーモブは毎日のように次々と新企画が立ち上げています。一体どのようにこんなに多くの新企画を生み出しているのか伺いました。
RIKUHIRO:7月には菊地さんが関わる「自然と人の共生、サステナブルな暮らしを探る4日間」が北海道を舞台に開催されますね。拠点は北海道に移されたんでしょうか。
フルリモートで多様性は加速する
今は拠点を北海道に移しています。
私だけではなく、昨年7月からオフィスを撤去して全員フルリモートにしています。
旅しながらリモートしてるなんて人もいますね。
フルリモートは本当に素晴らしいです。
それぞれの興味関心は異なるので、自分に最もフィットする場所で、好きな人と、好きな事をしていこう、という意図でフルリモートに変更しました。働くなら満員電車より森の中!
一方で情報共有やちょっとした事でもすぐに話し合えるよう、、1日の朝礼と夕礼、そして週に一度は1.5時間のミーティングをしています。
働く形式も多様であって良い
働き方という意味では、これからは正社員という形だけではなくて、インターンでも副業でも色んな方法があって良いと思います。
色んな人とコラボして色んなものを生み出していくことが、会社の価値提供につながると考えています。最近は広報はエジプトからサポート頂いていたり、法務関連はユーザーの方と意気投合して顧問委託契約結んだりしています。
企画を生み続ける行動力の源泉と次の一手とは
海外インターンシップを事業の主軸としていたタイモブ。コロナで人を送り出すことが出来ず、会社自体が厳しい環境に置かれました。しかしそんな状況を打開し、今は新たな方向性を見出し再び躍進しているそうです。最後にその新たな方向性と、その行動力の秘訣について伺いました。
RIKUHIRO:菊地さんの行動力が半端じゃないということが良くわかったのですが、その行動力の源泉は何でしょう?
つくりたいのは「お祭り状態」
私自身がいつも掲げているのは「お祭り状態を作りたい」というミッション。
これが私のコアです。
お祭り状態とは、高揚感があって、人との出会いがありそこからシナジーが生まれる状態です。
そのためなら私は報酬がなくてもやるし、無意識でもやるし誰に何を言われようとやる。
会社のメンバーもそれぞれの「らしさ」があり、それを追求していくと、結果的に新たな、その人らしい企画ができあがるんです。それがタイモブの企画ができあがる源泉です。
100年先の未来を創る生態系のようなコミュニティー
私にもあなたにも、らしさ(持ち味)がある。そのらしさを最大限生かしながら、世界中の多様な組織や人、自然とのコラボレーションを通じて、次世代リーダーを生み出すムーブメントを牽引しています。
関わる人たちの「らしさ」が絡み合い、シナジーを起こして100年後の未来にとって意義あるプロジェクトをたくさん起こしていく生態系として機能していきたいです。
もっと多くの人に届けたい
これからは実践型教育機関という形に新しい展開を見出しています。
それは次世代リーダーの創出を考えた時に、個人だけでなく、もっとマスに働きかける必要があると考えたからです。
今はコロナで色んな教育プログラムが変更になる中、弊社のプログラムを導入して下さる高校や大学が増え、とても忙しくなってきました。
弊社のプログラムを通じ色んな世界や人に触れて、「自分はこれだ!」という旗を立てて欲しい。
そんな次世代リーダーがこれからどんどん生まれていくのを楽しみにしています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
菊地さんのエネルギッシュなところ、次世代リーダーを生み出していきたいという熱が伝わっていたら嬉しいです。
SIFジャーナルではこれからも、活躍する起業家のインタビューをたくさんお披露目できるよう準備しています!
今回興味を持って頂けた方は、今後も色んな記事を楽しんで頂けたらと思います!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。