SIFのストーリー
Story
1週間で人の人生を変える
2024年9月現在、SIFことSocial Innovation Fiji は、SIF Academy(SIFアカデミー)をメイン事業に複数事業を展開しています。
しかし実は2022年のSIF創業時は、SIF Academy事業を行うことが決まっていませんでした。現在の形になるまでに、約10ヶ月をかけています。しかし、創業時から現在までを貫く想いは変わっていません。
「1週間で人の人生を変えるにはどうしたら良いか」
それがSIFの原点でした。
参加者には絶対に、「ただの夏休みの思い出」にはしてほしくありませんでした。
現在参加者の多くは大学生ですが、SIF Academyのプログラムは元々は20代の社会人向け、若手社会人向けを想定していました。
社会人の方であれば想像がつくかもしれませんが、恵まれない社会人が日本にはたくさんいます。就活ばかりして、就活したものの「変な会社に入ってしまった」という感想を持ちつつ働き続けるような人たちがいます。
そんな人たちを、SIFが元気にしますよ、企業向けに企業研修やりますよというのが初期の構想でした。そこは現在の姿と大きく変わった点です。
ただ、 SIFアカデミーの内容は社会人向けのままなので、非常に難度が高くなっています。英語で、ビジネスプレゼンテーションがあり、ビジネスフレームワークまで出てきます。大学生がこのプログラムを消化できるのだろうかと確信が持てない部分がありました。
そのため、先輩の経営者や大学の後輩など、様々な人とワークショップを行ったり実際に活動をしながら内容を決めていきました。
最終的に、中心となる参加者は大学生となった一方で、コンテンツは大学生向けにはしませんでした。過去には 高校生の参加者もいましたが、高校生でもその内容は変えていません。「アカデミーの期間内で答えが出なくてもいい、頑張ろうね。」というスタンスです。
「本当にやりたいこと」を問う
Academyの前に、前職時代にクラファンを行った名残りで、Fiz(アパレル事業)と オンライン英会話(Direct English, DE)は手元にありました。それを進めようということになったのが2021年の1月です。アカデミーの構想を始めたのは翌年、2022年の1月でした。
※Fiz:フィジーの伝統紋様を活かした雑貨ブランド。フィジーのテイラーたちによって製作されており、特に女性の雇用創出に貢献しています。(詳しくはこちら)
※SIF Direct English(DE):「あなたの自信を育み、あなたの挑戦を後押しする」をコンセプトとしたオンライン英会話プログラムです。この事業は、コロナで仕事を失ったフィジー人教師の雇用創出にも貢献しています。
当時は息子が生まれる前だったので、あんまり人生のリスクは取りきれないと考え、 前職に関わることで最低限のお金を稼ぎつつ、焦らずに進めようという考えで1年が経ちました。その頃に創設当時からのメンバーから、「Akiさんの本当にやりたいことなんなんですか?」という全うな質問を受けました。 そう聞かれたときに「本当になんでもやっていいんだったら、本当は学校がやりたいんだよね」という話をしたんです。
その学校をやるためには お金もかかるし、先生も必要だから、今あるFizと英会話でお金を貯めて5年、10年後ぐらいにできたらいいかなという話をしました。 いまSIF Academyでやっているようなことを彼に言ったら、「なぜやらないんですか?なぜ今やらないんですか?」と尋ねられました。
せっかく会社を辞めて起業するのであれば、やりたいことをやらなかったら意味がないのではないか、と彼に言ってもらいました。それならばと考え始めました。
学校を設立するにも、そもそも「学校とは」から考えました。
前職が留学会社だったので、「学校」といえば、校舎・カリキュラムがあり、先生がいるイメージです。この「学校」は多額の固定費がかかります。
座学はしたくない。先生もいない。そんな学校を作りたいと思いました。
そこで、多くの学部があるようなUniversityではなく、現場に特化したAcademyが想起されました。その後テストフェーズを挟み、実際のプログラムが始まりました。
「本当にやりたいことは何か」
これはSIF Academyでも参加者に投げかけ続けており、プログラムを有意義なものにするポイントでもあります。代表自らが問われ、実践してきたことが、プログラムにも反映されています。
大学生を対象とした理由
当初のSIFの構想では若手社会人を参加者として想定していましたが、大学生を対象に変更したのには理由があります。
実は2022年の5月ぐらいから9月ぐらいまで、法人向けプログラム作成に向け、ニーズ調査や提案をしていました。
インターン生が動いてくれて、企業とのやりとり自体はうまくいきました。しかし、グローバル研修を受注してもらおうにも、実績が無いから受注してもらえません。
最終的な判断を下す決め手となったのは、受注する際の判断基準を聞いたときでした。「新規の会社は取らない。なぜなら、めんどくさいから。」
挑戦する心を失った、古い日本企業の姿がそこにはありました。それで社員は変わるのでしょうか。企業は変わるのでしょうか。日本は変わるのでしょうか。たとえSIFがグローバル研修を受注し、どれだけ参加者の人格を変えようが、成長させようが、企業は全く評価できない。
それならば、大学生にプログラムを受けてもらって、自ら事業を立ち上げられるような力をつけてほしいと考えました。
フィジーへの思い
フィジーとの出会いは前職への転職時です。多文化多民族多宗教なのに主観的幸福度1位で、英語で誰とでも会話ができて我々でも力にできるような社会課題があり、地政学的にも面白いとおもい、転職したんです。
コロナ中もフィジーには大変お世話になり、その恩返しで始めたのがFizであり、その後のSIFです。
フィジーは課題山積なのに、人口が少ないなどの理由でなかなか先進国の支援や資本が入ってこない環境です。この国の役に立つには、継続的に人・モノ・情報・カネが入ってくる仕組みを作る必要があると考えました。
ハッピーな国に日本人がイノベーションを持ってくれば、最高の組み合わせになる。日本はフィジーからハッピーを学び、フィジーは日本からイノベーションを学ぶ。
この学びのサイクルが自分のフィジーへの思いと、教育への情熱、日本への課題意識を貫くものとなって、SIFアカデミー誕生につながりました。
SIFの今後
SIF Academyは「事業が生まれるプログラム」がテーマです。人材輩出だけでなく、事業輩出も行っていく。そのための母数を増やすこと、打率を上げることが、まずこれから何年かかけて進めていくことです。
打率100パーセントのような発想はしたくないですね。みんなに「自分のアイデアがうまくいく」とは思ってほしくないです。有名企業でも新製品が当たる確率は3割くらいのものですから。
とはいえ枠組みをちゃんと作っていきたいなと思っています。アカデミーは、とにかくみんながのびのびリスクを取れるような状態を。組織としては足腰をもっと強くしていって、 「そんなことできるの。そこまで挑戦できるの。」と思えるくらい強くしていきたいと考えています。
「バックオフィスはSIFで取るから自分で会社作っていいですよ。事業作っていいですよ。」のようにサポートしてあげるというのを、2030年に向けてやりたいですね。その会社や事業というのは、日本でもフィジーでも、そうでなくてもどこでも良いんです。
それと、Academy参加者同士の繋がりを作っていきたいです。そうすると、4期生の企画を8期生が継続するというようなことができます。ベースに何らかの企画があると、その上に次の企画ができ、立体的な関係性ができてくるはずです。
参加者としても「自分はこれやりたい」というタイプではなく、「私は0→1よりも1→10が得意なんです」というタイプもいると思います。そういう人がいると、散らかっていたプロジェクトを、大切に育てて、インキュベーションしていくことができるようになります。
Academy参加者自体は常に自分のやりたいことやっているけれど、2代目3代目となってプロジェクトを進めていく。単発で終わりにならない、育っていくプロジェクトが出てくると良いと思います。