私はフィジーに1年間留学していました。その時のことを思い出してみても、フィジー人が笑ってない所をみたのは、誰かに対して怒っている時くらいで、基本的にいつも笑顔でした。
彼らに幸せ?と聞くと、本当にほとんどの人が自信満々に「幸せ」とこたえました。
日本と比較すると、経済的にも医療や科学技術的にも恵まれていないのに、なぜなのでしょう?
この記事では前回の記事に続き、実際にフィジーに滞在した私の経験や、そして今回は、フィジー人本人に直撃インタビュー、実際どう思っているのかを深堀することで、その秘訣に迫っていきたいと思います。
そもそも「幸せ」とは何か?
辞書上の幸せ
Goo辞書によると、幸せには以下の意味があります;
- 運がよいこと。また、そのさま。幸福。幸運。
- その人にとって、望ましいこと。不満がないこと。また、そのさま。
- めぐり合わせ。運命。
となっています。日本人の私たちにとっては、特に違和感のない、「幸せ」でしょう。ではフィジー人の幸せ、は私たちと一緒なのでしょうか?それとも違うのでしょうか?
ギャラップ社幸福度調査1位、フィジー
前の記事でも掲載した通り、2017年にギャラップ社が55カ国を対象に行なった幸福度調査では、92ポイントでフィジーが1位に輝きました。2位のコロンビアとは、5点ポイントがありました。
ギャラップ社の行なっている幸福度調査は、5段階で「主観的な幸せ」に対する評価をし、幸福度を測ります。自分が幸せと思うかという質問に対し、5:とても幸せ 4:幸せ 3:幸せでも不幸でもない 2:不幸 1:とても不幸、と回答する形式です。
フィジーが獲得した92ポイントは純粋幸福度と呼ばれるもので、上記の4,5を選んだ「幸福を感じている人の比率」から1,2を選んだ「不幸を感じている人の比率」を引いて割り出されたものです。
つまり、経済指標などの客観的指標で裏付けられた幸福ではなく、「自分が幸せだ」と思っている人の割合が世界一多い国、ということです。経済的は豊かでなくても、寿命も長くなくても、ハッピーな人がたくさんいる、不思議な国なのです。
参照:https://www.huffingtonpost.jp/yuma-nagasaki/happy-country-fiji_a_23324628/
主観的幸福度ランキング1位のフィジーとはどんな国なのか
幸福度ランキング1位のフィジーは、最近になって認知度が上がってきています。が、それでもアメリカや韓国などの国と比較すると、まだまだです。
これから、フィジーという国を細かく見ていきますが、果たして国柄はフィジーが幸福度1位に輝ける理由の1つなのでしょうか?
フィジーとは
まず始めに、フィジーとはどんな国かを軽くお伝えします。
フィジー(正式名称:フィジー共和国)は、南太平洋の300以上の島々で構成されている国です。フィジーの土地総面積は日本の四国とほぼ同じです。
フィジーウォーターで有名なフィジーですが、サトウキビ産業や、息を呑むほど透明な水をした海を売りにしている観光業なども、盛んです。
フィジー人はとても人懐っこい性格をした人が多く、外を歩いていると必ず1回は“Bula!(こんにちは!)と、笑顔で声を掛けられます。
そんな時は笑顔で、Bula!と返してあげましょう。
幸せへの近道その1 ~ フィジータイム
フィジーには、フィジータイムと呼ばれる文化が存在します。
フィジータイムとは、“まあなんとかなるから、気長に待とう”という、心構えのことを指します。
この文化のおかげで、フィジー人は時間にルーズな人が多いです。
これは人だけはありません。例えばバス。日本では公共交通機関の正確な運航が当たり前ですよね。
私は当時バスで通学をしていましたが、フィジーのバスにはそもそも時刻表がありません。笑 私が利用してたバスだけではなく、基本的にフィジーのバスには、時刻表がありません。大体この時間に来るだろうという30分程度の時間枠を作って、生活をしていました。
ホームステイ先の自分の部屋の窓から外を見て、1つ前のバス停にバスが止まっているかを確認しながら待っていました。
40分程度の待ち時間は、日常茶飯事のことでした。笑 なんとか学校には行けますが、冷や汗をかきながら通学した、そのような出来事も、今ではいい思い出です。
日本は時間にとても厳しく、1分でも遅れたら頭を下げる風潮がありますが、フィジーでは40分遅れたとしても、ごめんねのごの字ももらえません。
気長に待つ忍耐力がつけられるのも、フィジーの魅力。何かに追われていない環境は、心に余裕をもたらします。この「余裕」がフィジーの幸せの秘訣のひとつだと私は思います。これについてはインタビューでも出てきますので、後述していきます。
幸せへの近道その2 ~ ケレケレ文化
フィジータイムと肩を並べるくらいフィジー文化に「ケレケレ」という文化があります。ケレケレは英語ではPleaseと訳されるといわれていますが、もう少し広く「分け合うこと、共有すること」を意味しています。
そのほかに、私個人の意見としては、ケレケレには「助け合い」などの意味も含まれていると思います。
なので、フィジー人にケレケレ、と声を掛ければ、快くお手伝いをしてくれます。このケレケレ文化のおかげで、フィジーでは人との繋がりはとても強いものとなります。
現在でも、村が存在するフィジーには、「村人は皆家族」といった考えが、今でも根強くあります。
私は、このケレケレ文化、そしてそこから生まれる「人と繋がり」も、フィジーが幸福度ランキング首位に導いた大きな要因の1つではないかと考えます。
その理由は、こちらの記事に書かせていただきましたが、「人との繋がり」は、誰かを幸せにする力を持っているからです。
助け合いや、誰かと何かを分け合う、ケレケレが文化として根付いているフィジーでは、助け合いは当たり前のように行われています。
【直撃インタビュー】フィジー人が思う、フィジーが幸福度ランキング1位の理由
この記事を書くにあたり、フィジー人のOliveにインタビューする機会を設けていただきました。
Oliveには、フィジー人の幸せに関連する質問に1時間以上答えていただきました。
私がフィジーで生活する中で、Oliveと似た考えをもつ人はフィジーにたくさんいると思います。フィジーがなぜ、幸福度ランキング1位に輝くのか、少しずつわかってきます。
フィジー人なりの幸せ ①小さいことにも感謝を忘れない
Oliveは、「どんなに小さなことにも感謝を忘れない心こそが、幸せに導いてくれる」と言っていました。
例えば、どんな小さなことに感謝していますか?と質問を投げかけてみたところ、「自分を幸せにしてくれる家族や、友人に囲まれている時間」と、回答をいただきました。
その時間まで?!とも思いましたが、確かに家族や友人と過ごせる時間って、当たり前ではないですよね。
またOliveは、「Challengeは幸せ」、と捉えるように心がけているそうです。
チャレンジは日本語だと「挑戦」というポジティブな意味がありますが、英語では「困難」のようなネガティブな状況にも多く使います。いずれにせよ、チャレンジに立ち向かえるその機会がある、それ自体を幸せだと捉える考えです。
考えてみれば確かに、全人類が挑戦に立ち向かえる機会が、与えられているわけではないですね。たとえ挑戦だとしても困難だとしても、その機会をポジティブにとらえようとすることにも力強さを感じます。
このように、Oliveは日々の家族や友人との生活の中に感謝を見出し、幸せを感じているのだということが少しずつ見えてきました。
どんな環境だとしても、自分が幸せなら幸せ
続いて、私が個人的に好きな価値観をOliveにぶつけてみました。「考え方次第で人はどんな環境にいても、幸せと感じられると私は思いますが、その意見に対してどのような考えをお持ちですか?」Olive先生は私の意見に賛同してくれました。
さらにOliveは、「自分が幸せと思っているのなら、他の人がどう思っていようと、幸せなんだよ」、とアドバイスをくれました。
それは自分のことだけを考えるってことですか?と、質問で返したら、そういうわけではなく、他人の意見に惑わされてネガティブになってしまうのであれば、他人の意見を無視して良い、といったものでした。
自分がどのような環境にいようと、「ポジティブでいることで、幸せを招いているよ」、とOliveはおっしゃっていました。
フィジーは明るい国民性、とよく言われます。しかし単純に性格が明るい、のではなく、与えられた環境をポジティブにとらえる「ポジティブ思考」を持っていて、その考えこそもフィジーを幸福度1位にする、大きな鍵かもしれません。
「余裕を大切にする」それこそが今の日本に足りないもの
時間にとても厳しい風潮がある日本ですが、果たして日本にもケレケレやフィジータイムが必要なのでしょうか?
Oliveは、日本に足りないものは、フィジータイムのような、“時間の余裕”だとコメントをしました。
このコメントを聞いた時、私は東京で教育関係のアルバイトをしていた時のことを思い出しました。
アルバイト先の職場の雰囲気はとても好きでしたが、職場の最寄駅からオフィスまでの道のりが、私にとっての1番大きなストレスでした。その理由は、目に入る全ての人が時間に追われていて、急ぎ足で歩いている光景です。
もしフィジーに行った事がなければ、フィジータイムの存在を知る事なかったですし、日本の忙しい環境も“当たり前”、と思っていたかもしれません。
ただ、私自身の留学生活、そしてOliveの話を通じて、余裕を持つ大切さに改めて気づかされました。もちろん「ケレケレ」のように周囲と助け合ったりポジティブ思考を持っていくことも大事ですが、それもまずは「余裕」があるからこそできるのかな、とも思います。
仕事中心の生活様式の日本は、フィジーのように家族中心とした時間を持つことで、幸福度ランキングの順位を上げることができるかもしれませんね。
まとめ:「余裕」と「繋がり」、これがフィジーを豊かにする。
私がフィジーの離島のツアーに行った時、日本から来たということを船員に伝えました。そしたら船員の一人が“幸せなら手を叩こう”を、日本語で歌ってくれました。私はその場の空気を読んで手を二回叩きましたが、歌を披露してくれた船員に、「本当に幸せだと思って、手を叩いてるの?笑」、と冗談混じりで聞かれました。
彼は冗談のつもりで、私も笑ってやり過ごしましたが、なぜ彼がその質問をしたのか疑問に思いました。果たして二回手を叩いた時の私の顔は、そんなに不満そうだったのでしょうか?
幸せと思い、感じることは、難しいものです。しかし、挑戦を目の前にした時に幸せと思うようにしたり、当たり前のことを当たり前に思わず、どんなに小さいことにでも感謝することができるようになると、幸せへ近づきます。
船の中で周囲に合わせて空気を読んで、二回手をたたいた私はまさにそれが実践できていなかったのだと思います。
ぜひ明日から、何か難しいと思うようなことに直面しても、「幸せだな」と、捉えるようにしてみませんか?
心の中だけでも、家族や友人との時間に感謝をしてみませんか?
フィジー人から学べる、「幸せの秘訣」は、あなたが思うより、近くにあるかもしれません。