今日はSDGsの取り組みの中でも、少し大きめのテーマでお話します。
世界には環境問題・貧困問題・人権問題などさまざまな社会問題があります。
一つ一つの課題に向き合い、取り組んでいくことはもちろん大切です。
そして同時に、これらの問題がなぜ起こるのか、この先減らしていくにはどうしたら良いのかを考え伝えていくことも大切です。
その一つの手段が教育です。
特にSDGs目標4 質の高い教育をみんなに 、は他のすべてのSDGsを実現する重要な要素です。
皆さんはESDという言葉をご存知でしょうか。
ESDとは「持続可能な開発のための教育」(Education for Sustainable Development)を指します。
今日はこのESDについて、SDGs達成に向けてなぜ今ESDに注目すべきかを5つの理由で解説していきます!
ESDとは?を簡単に解説
ESDは教育を通じて、個人やコミュニティ、組織が環境について学び、これらの課題を自分の問題として捉え、一人ひとりが地球規模の課題に対処するためのスキルや理解を深め、持続可能な社会を目指すことを目的としています。
文部科学省がESD教育で取り組むべき課題として挙げているのは、「環境」「国際理解」「世界遺産や地域の文化財」「気候変動」「生物の多様性」「防災」「エネルギー」などです。
SDGsと特に関連するのが、目標4-7です。
2030年までに.持続可能な開発と持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力の文化、グローバル市民、および文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて、すべての学習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする。
外務省ホームページ
SDGs目標達成にはESDが欠かせない5つの理由
ESDを理解して頂いたところで、ESDを推進していくとどのような良いことがあるのか、なぜESDが欠かせないのかを解説していきます!
人間と環境の相互依存関係を学ぶ機会
私たちが生きていくために必要な衣食住。そのすべてを提供してくれる環境ですが、その役割と重要性はあまりにも長い間、重要視されてきませんでした。
これ以上、人類が不注意に生態系にダメージを与えないためには、子供たちに”人間と環境は切っても切れない関係にあること”を伝えることが重要です。
地球は次の世代にとって唯一の故郷であり、それを維持するためには、地球について学ぶことが不可欠です。
例えば木は、木材、食料源、酸素を供給し、人間だけでなくさまざまな生態系を支えています。
木がなければ水の循環が乱れ、干ばつや大洪水などの極端な現象が起こります。
また海は、気象パターンを制御し、地球上の酸素の50%以上を生産することで、生物の生存を可能にしています。
しかし、海はプラスチックや石油、有害物質でますます汚染され、世界を支えている海洋生物を苦しめ続けています。
実践を通じてSDGs目標達成への行動を学ぶ
教室での環境科学ももちろん必要ですが、これからは学生にいかに体験させるかも重要です。
例えば農業ラボや環境プログラムは、学生が環境との関係を再考し、将来のために環境に優しいスキルや習慣を身につけることにつながります。
子供たちは自分の食べ物を育て、資源を節約し、持続可能な製品を選ぶことを実体験を通じて学んでいき、一人一人が将来のライフスキルを培っていきます。
地球を尊重することは、地球の歴史や機能、繁栄に必要なものを学ぶことです。
子どもたちの地球への敬意を高めることが出来れば、未来のゴミのポイ捨てや汚染、資源の無駄遣いが減ります。
つまり人間と環境の相互依存関係を学ぶ機会を提供することは、より持続可能な習慣と資源を守るための努力を意味します。
環境と社会のバランス感覚を身につける
環境に配慮した企業を見分ける方法、そして自らの持続可能なビジネス活動を展開する方法を学生に教えることは、より環境に優しい社会の未来につながります。
数十年前の消費者は、ビジネスや生産が地球にどのような影響を与えているのか知らないことが多かったのですが、その状況は急速に変化しています。
持続可能性は、生態系だけでなく経済にも影響を与えます。
すでに、ミレニアル世代やZ世代の消費者は、環境に配慮した製品への支出に積極的です。
ミレニアル世代の4分の3は、環境を支える持続可能な製品を求める購買習慣にシフトしています。
現在の若者に、持続可能な起業や農業への理解を深める機会を提供することで、教育者は次の世代をさらにエコな行動をとれるようにすることができます。
サステイナブルの重要性が増す中でのキャリア形成
現在、多くの大学がサステイナビリティに関する学位や関連分野の専攻を設けています。
環境に配慮した専攻を目指す学生は、生物学者、環境科学者、研究者など、さまざまな職業に就くこともできます。
農業、エネルギー、製造業はいま、最新のテクノロジーを駆使して環境に優しいプロセスを常に取り入れようとしており再び盛り上がりを見せています。
これらの分野は将来的にも継続的な投資が見込まれ、持続可能性を追求する分野として今後主力となっていくことでしょう。
環境学に興味を持ち、キャリアを積めば、環境に配慮したビジネスを立ち上げたり、環境に優しい企業に入社したり、既存の組織に影響を与えて現在の戦略を見直すことができます。
子供たちに早期のサステイナブル教育を施すことは、サステイナブルなライフスキルを身につけさせるだけでなく、成功するキャリアへの準備にもなります。
将来への備えと影響力の拡大
今の地球は、数十年後には同じではありません。
教育は将来の変化に備えると同時に、さらなる被害を防ぐためのツールを与えることができます。
子どもたちは、学校で何を学ぶかによって、その後の人生を左右することになります。
持続可能な教育を早期に始めることで、子供たちは環境がなぜ重要なのか、どのように扱われるべきなのか、そして環境の将来的な存続にどのように重要な役割を果たすのかを学びます。
教師、教授、親が今、子供たちを教育すれば、未来の未知の風景の中で生き延びる能力を与えることができます。
もっと関心を持ってくれる子どもたちが増えれば、科学者や研究者、資源保護に取り組む活動家が増えより大きな影響力を持ってくれる可能性もあります。
世界は変化し、それに伴って今から将来に向けて世界へのアプローチを変える必要があります。
学校で環境をテーマにした持続可能性教育を重視することで、次世代に環境変化に対応するためのツールを与えるだけでなく、より良い未来を与えることができるのです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
これからの持続可能な社会に向けて、ESDがこれから必要な理由をお話しさせていただきました。
SDGsの取り組みというと、直接的な効果がある取り組みを考えがちです。
今回のESDはそうではなく、将来の社会に向けた、いわゆる投資のようなものです。今すぐに効果は出ませんが、早くから取り組むことで将来に大きな影響があります。
目の前で失われていく命、目に見えて悪化する環境を目の当たりにすると、短期的な視点になりがちです。
でも環境や社会への取り組みの効果が出るには、本来とても時間がかかります。
その意味でも将来を担う世代に何を伝えるか、という取り組みは2030年を目標期日とするSDGsだけでなく、その後も持続する社会づくりの本質でもあると思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。