実態から具体的な取り組み事例まで!| SDGs目標14 海の豊かさを守ろう | 幸せの国フィジーがプラスチック撲滅で世界のリーダーへ

皆さんがフィジーと聞いてまず思い浮かべるのは、美しい海ではないでしょうか。

旅行やダイビング、リゾートなどでフィジーの海に興味を持った方も多いと思います。

でもそんなフィジーの海が、環境問題に悩まされているのをご存知ですか?

珊瑚礁や魚、海洋生物たちが、人間の出した様々な有害物質で命を落としています。

以前にこのようなTweetをさせてもらいましたが、フィジー政府も黙って見ている訳ではなく、国をあげた取り組みを始めています。

今日はこの記事を読んでいる間だけでも、フィジーのSDGs目標14 海の豊かさを守る取り組みについて一緒に考えていただけたらと思います

この記事を読んでいただければ、フィジーの海の豊かさの現状、そして豊かさを守るための取り組みについて知ることができます。

また我々Social Innovation Fiji(SIF)も、この分野についてフィジーと一緒に取り組んでいく方法を検討していきたいと思います。

良いアイデアをお持ちの方や、何かしたい!と思って頂ける方をお待ちしています。

目次

フィジーのSDGs目標14の取り組みに関するレポート

 フィジーは、VNR-Voluntary National Reviewというレポートを発行しています。

これは変革をもたらす2030アジェンダとその17のSDGsの実施に関する包括的なレビューが出来るフィジー初のレポートです。

このレポート中のSDGs目標14の部分は、以前にまとめてあります。

政府からの内容を知りたい方はこちらからどうぞ。

SDGs|目標14|海の豊かさを守ろう-フィジーの海洋資源保護への取り組み

SDGs目標14に関する調査結果

 最初に衝撃的な調査結果からご紹介します。

以下は南太平洋大学海洋学部(SMS)が2019年に発表したフィジー周辺海洋域における調査の結果の一部です。

私たちの海に生息する魚の65%以上がマイクロプラスチックを含んでいるという事実は、多くのフィジー人にとって切実な問題です。

スバ半島前浜の東側の魚では、西側(スバから西に5km離れた海洋保護区であるvanua Navakavu)の魚に比べて、マイクロプラスチックの量が多いことがわかりました。

この調査では、フィジーの首都、スバ地域の沿岸環境で見つかった魚の67.5%がマイクロプラスチックを摂取していたことが明らかになったといいます。

なかなかパワーのある数字ですが、ところでマイクロプラスチックとは何でしょうか。

人体への影響も危惧されていますが、今回は海洋生物への影響という視点でまとめています。

マイクロプラスチックはSDGs目標14にとっての脅威

 プラスチックは海中で分解されると、マイクロプラスチックと呼ばれる直径5ミリから100ナノメートルの小さな断片になるとされています。

このマイクロプラスチックは2つの要因で発生すると考えられています。

1つ目は一次マイクロプラスチックと呼ばれる、製品や製品原料として使用する目的のためのものです。

歯磨き粉や工業用研磨材、化粧品に含まれているマイクロビーズ、スクラブなどが主要因として挙げられます。

2つ目は二次マイクロプラスチックです。

プラスチック製品が自然環境中で劣化し、粉々になることで生じたマイクロプラスチックです。

プラスチック製のボトルやビニール袋が、長い期間をかけて波や紫外線で劣化していくと発生します。

マイクロプラスチックやプラスチックが海に不適切に廃棄されると、海洋生物にも深刻な影響を与えます

魚類やサンゴなどの海洋生物は、プラスチックをエサと勘違いして食べ続けた結果、餓死する可能性があります。

この調査では、少なくとも17%の種が、窒息の原因となる絡みつきの影響を受けて命を落としている可能性が高いとしています。

また別の調査では、マイクロプラスチックの絶え間ない発生源となっているのが、マイクロファイバーや繊維状のマイクロプラスチックを含む水を流している廃水処理場だという報告もあります。

SDGs目標14に関する取り組み①ポイ捨て禁止

 ”ペットボトル1本が完全に分解されるまでには、約450年もかかる”

 フィジーではプラスチックがどのような影響を及ぼすかを考えずに、無造作に捨てられた廃棄物がそのまま多く残っています。

特に問題となったのはゴミを不当に放置する習慣です

このような状況から、2008年には「Litter Act 2008」が制定されました。

これは車両からのポイ捨て、危険なポイ捨てを放置した場合など、さまざまな犯罪に対する罰則を定めた取り組みの一環です。

そしてこの2008年のLitter Actとその施行から10年以上が経過しました。

しかしその効果は非常に限定的であったと言われています。

水路・環境大臣のMahendra Reddy氏もその効果について、この法令の実施は非常に困難であったと認めています。

現在フィジーでは、市民の消費者意識の変革が最も重要だとし、国としてこの意識改革に取り組んでいます。

廃棄物削減に向けた取り組みについては、こちらの記事にもまとめてあります。

SDGs|目標12|つくる責任 つかう責任|深刻化するフィジーの廃棄物問題

SDGs目標14に関する取り組み事例②レジ袋増税

 フィジー政府は、2025年までにレジ袋を廃止するというフィジーの自主的な海洋公約をしています。

国も次々と法令を立て、SDG目標14 海の豊かさを守ろう にも大きく関係した公約を守ろうと必死です

現在フィジーでは、市民の消費者意識の変革に特に力を入れています。

具体的には、民間企業とのパートナーシップを確立し、特に使い捨てレジ袋の削減とペットボトルのリサイクルの推進を強化しています。

その使い捨てレジ袋の削減についてはフィジー政府の思い切った制度が大きな反響がありました。

レジ袋税の始まり

フィジーでは2017年からすでにレジ袋税が導入されていました。

フィジーは、クリーン・パシフィック・ラウンドテーブル(Clean Pacific Roundtable) 2018の中で、このように報告しています。

「2017年8月1日から2018年7月31日までの間に、POSシステムを導入している国内の4,281の企業から、合計43, 581, 688枚のレジ袋を徴収することに成功しました。」

この禁止令は、以下のようなキャリーバッグには適用されていません。

a) 包装済みの既製品やパンを運ぶためのプラスチック袋など、包装に不可欠なもの。
b) ゴミ袋やゴミ箱用ライナーとして使用されているもの
c) 厚さが50ミクロン以上の袋。

さらなる増税

 2020年1月1日に、レジ袋1枚あたりの課税が20セントから50セントに引き上げられました。

このフィジー政府のリーダーシップは、プラスチック汚染が太平洋に与える影響を解決することを目的としています。

レジ袋税の導入の苦悩

 一方で当初はなかなか市民に受け入れられず、支払い拒否をするなど問題が発生したといいます。

政府は民間企業の協力を得ながら、この料金が法律で定められたものであることを知ってもらうため、ポスターやレジカウンター上のサインを作成し対応したそうです。

 またもう1つの課題は、いかにして課税を誰もが簡単に実施できる実用的なアプリケーションに変換するかということでした。

その結果、課税されたすべてのレジ袋に対してPOSシステムに製品コードを設定しました。

これにより、各販売店のレポートを作成することも可能となりました。

「現在、日常的にビジネスを行っている企業は、この情報を収集し、毎月、フィジー税務局に申告書を記入する際に送信することが求められています。 税務署の作業負担を軽減するために、特別な欄が追加されました」と同会議では報告されています。

SDGs目標14に関する取り組み事例③ポリスチレン製品使用禁止

 次のSDGs目標14に関係する政府の取り組みは、2021年1月1日に発効されたポリスチレン製品の使用禁止です。

この取り組みは、フィジー政府の「気候変動法」の一部であり、2019年にフィジーの司法長官兼経済大臣であるHon.Aiyaz Sayed-Khaiyum氏が初めて発表しました。

フィジーは、世界的に深刻化している海洋プラスチック汚染の問題に対処するため、使い捨てプラスチックやポリスチレン、プラスチック包装材の使用や自国への輸入を禁止する法律も制定しました。

フィジーは今や、使い捨てプラスチックの撲滅に向けて多大なリーダーシップを発揮している多くの太平洋島嶼国の一つです

SDGs目標14に関する取り組み事例④大手ホテルチェーンの決断

 SDGs目標14に関連しプラスチック消費量を減らす取り組みとして、フィジー国内の民間企業からの取り組み事例もご紹介します。

 インターコンチネンタル フィジー ゴルフリゾート&スパは、環境保護のためにプラスチック製ストローを使用しないことを目的とした「プラスチックストローフリー」キャンペーンを2018年に開始しました。

この取り組みにより、ホテル全体で年間5万本以上のプラスチック製ストローを使用する必要がなくなりました

インターコンチネンタル フィジー ゴルフリゾート&スパの南太平洋地区総支配人、アンドリュー・デビッドソンは次のように述べています。

「このプラスチックストロー廃止キャンペーンの導入により、私たちはプラスチックをより賢く管理、使用することで、より多くのホスピタリティ事業者に刺激を与えることができると考えています。生分解性の紙製ストローがプラスチック製ストローの代わりとなり、すべての店舗でお客様のご要望に応じて提供されることになります」

今回の発表は、インターコンチネンタル・ホテル・グループ(IHG)の各施設で行われているエネルギー消費の節約など、既存の環境対策に加えて行われたものです

また、インターコンチネンタル フィジーでは、「サンゴの植樹」や「サンゴ礁学」などの海洋保護活動を含む、地域の小規模なプロジェクトを推進しています。

これらの活動では、リーフサファリのチームが、サンゴ礁の重要性や海洋生態系に影響を与える問題についての教育を提供しています。

インターコンチネンタル フィジーは、世界的に有名なフィジーの温かさとホスピタリティを超えたサービスを提供し、フィジーを代表するホテルとしてSDGsへの取り組みを強化しているのです

さいごに

 いかがでしたでしょうか。

SDGs14 海の豊かさを守る取り組みの事例をいくつか挙げましたが、フィジーはSDGsの中でも特にこのSDGs目標14に力を入れています。

それはフィジーにとって、海の豊かさは経済・生活・文化、全ての活動にとって欠かすことが出来ないからです。

海に囲まれたフィジーには、まだまだユニークな取り組みがたくさんあります。

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時々、フィジーを訪れた人の感想に”空港近くの海は非常に汚い”というコメントを見かけます。

訪れた人ががっかりするだけではなく、今回ご紹介したように、このまま対策を取らなければ様々な海洋生物に影響が広がってしまいます。

我々SIFでも、何とかフィジーの美しい海を守るために何か出来ないか考えていきます。

また、我々がいま関わっているフィジーは、コロナで経済がボロボロの状況です。

もし皆さんの中に少しでもフィジーと関わりたい、という方がいらっしゃればまずはお気軽にご連絡ください。

我々が英会話プログラムを始めた想い

フィジーという国は観光業を主な産業としています。

ただ、今回のコロナウイルスの蔓延で観光客はほぼ0となり、多くのフィジー人が仕事を失っています。

この英会話プログラムは、そんな生活に苦しみながらも前を向いて生きようとするフィジー人たちと”英会話を本気で学びたい日本人”をマッチングして成り立っています。

我々の中にはフィジーに住む日本人もおり、「フィジー人の雇用を少しでも創出していきたい」という想いで出来るだけ低価格でレッスンを提供しています。

もちろん頂いたレッスン料からは、フィジー人たちへの支援を行なっています。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考:

https://www.usp.ac.fj/news/story.php?id=2999

https://www.fijivillage.com/news/Serious-concerns-raised-as-research-shows-microplastic-in-fish-and-other-seafood-sources-in-Fiji-58f4xr/

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