今日はエシカル消費が認知されているにも関わらず日本になかなか浸透しない理由についてお話します。
皆さんはたぶんエシカル消費をご存知で、実際に行動もしたことのある方だと思います。
では皆さんはエシカル消費が日本の消費にしっかり根づいていると思いますか?
消費者庁が2019年度に行った調査では、「エシカル消費」の認知度は対2016年比で2倍に増加したと報告されています。
しっかり認知されているようです。
では実際にエシカル消費をした人や金額が5年前と比べてどれくらい増えているか考えてみてください。
例えば代表的なフェアトレードで見てみると、2017年のイギリスのフェアトレード小売販売額は20.1億ユーロ(約2,613億円)です。
対して日本のフェアトレード小売販売額は9,368.7万ユーロ(約121億円)でイギリスの4.6%した。
対前年成長率を見ても他国が10%を超える中で日本のそれはわずか4%でしす。
このように消費額ではまだまだ他国とは状況が異なるようです。
日本でのエシカル消費が広がらない背景にはどのような問題点があるのでしょうか。
なぜ認知度は上がっているのに行動するのに時間がかかっているのでしょうか。
この記事では社会的に良い考え方のはずのエシカル消費が抱える問題点を知ることが出来ます。
そしてこの記事を読み終われば、どうしたらエシカル消費が浸透していくのかという観点も整理され新しい視点でエシカル消費を考えることが出来ます。
エシカル消費が浸透しない背景にある問題点とは?
皆さんはどのような時にエシカル消費をするのでしょうか。
「イベントに参加した際に試しに購入してみたきり」
「普段は買わないが時々見かけたら購入するようにしている」
という方が多いのではないでしょうか。
ここで大きく2つの問題点があると考えられます。
1つ目の問題点はエシカル商品が手に取られないこと。
2つ目の問題点はエシカル商品に継続使用させる魅力が薄いことです。
つまりなかなかリピーターが増えないのです。
ではこれをもう少し細かくみて、7つの項目で考えていきたいと思います。
エシカル商品が手に取られない問題点
- エシカル消費はデザインがイマイチという問題点
- エシカル消費は信用できないと思われる問題点
- エシカル消費がブランディングでしかないと思われる問題点
- エシカル消費だけでは何も変わらないと思われる問題点
エシカル商品に継続使用させる魅力が薄い問題点
- エシカル消費は価格が高いという問題点
- エシカル消費は中身がイマイチという問題点
- エシカル消費は手に入りづらいという問題点
エシカル消費の問題点を考える上での理解
エシカル消費とは を簡単に
この記事ではエシカル消費の問題点について考えますが、簡単にエシカル消費の考え方についても触れておきます。
最もシンプルな表現は消費者庁に記載されている以下の文言です。
消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
消費者庁ホームページ
世の中の解決すべき課題の大きなカテゴリーとして貧困、人権、気候変動の3つが挙げられます。
これらの課題を同時に解決していくために、倫理的に正しい消費を行う「エシカル消費」という考え方が生まれました。
この考え方は、毎日何げ気なく使うものの選び方を少し変えるだけで社会に貢献できるというものです。
消費は私たちが毎日する行動なので最も身近にできる社会貢献の一つと言えます。
エシカル消費の概念に含まれるもの
では具体的にどんな視点を取り入れれば良いかというと、「いつ、どこで、誰が、どうやって」作ったのかということです。
「エシカル」という概念は非常に幅広いものです。
「エシカル」にはフェアトレード、オーガニック、地産地消などが含まれます。
またエシカル消費には他にも「社会的に良いとされること×消費」という考え方に当てはまるもの全般が含まれます。
ここからはエシカル消費が認知されているほど浸透しない理由について7つの問題点を挙げたいと思います。
エシカル商品が手に取られない問題点
エシカル消費はデザインがイマイチという問題点
エシカル消費の作り手が抱える問題点
エシカル商品のつくり手としては大手企業のほかにもスモールビジネスや第三セクター(非営利団体)があります。
このような小さな組織、個人や利益を追求しないつくり手は商品はできてもなかなかパッケージやカタログにまで時間とお金を使う余裕がないというのも現実として考えられます。
どれだけ商品におもいを込めても、それが消費者に届かなければ手にとってもらうことはむずかしいのです。
エシカル商品のマーケティング
消費者に届かないというは見た目だけではなく、マーケティング全体に言える問題点でもあります。
例えばどれだけ良い製品を作ったとしても、小さな孤島で売っているだけでは多くの消費者に届きません。
他の商品と同じくエシカル消費においてもいかに消費者にベネフィットを伝えるか、認知してもらえるかという点が非常に重要な観点になってきます。
エシカル消費は信用できないという問題点
次はエシカル商品の生産者・供給者がうたっている内容が、消費者から信用されていないという問題点です。
「エシカル」「フェアトレード」という単語は知っている人からすると当たり前に使う単語ですが、買ってみるところまで理解している人はまだまだ少ないのが現状です。
ましてやそれが初めて見る商品、メーカーのメッセージだとしたらどうでしょう。
この状態で生産者側のメッセージをそのまま納得し信用してもらうことは至難の業です。
本当に自分の消費が社会を良くするために使われているのか。
それが消費者にも透明性がありいつでもわかる状態をつくらなければ信用を得ることはむずかしいのです。
エシカル消費がブランディングでしかないと思われる問題点
エシカル消費はある種のトレンドワード化している側面もあり、つくり手側が多用しすぎているという問題点もあります。
またエシカル消費の定義についてお話しましたが、フェアトレードやエコマークなどの認証があるもののエシカル消費自体は特に認証のようなものはありません。
つまり誰でもエシカル消費を名乗ることができてしまうのです。
中にはエシカル商品のコンセプトを掲げながら実際にはコンセプトと違うことをしている企業もあるようです。
このようなことが蔓延していくと、エシカル消費という単語は企業のブランディングにしか聞こえないという事態になっていきます。
エシカル消費だけでは何も変わらないと思われる問題点
またエシカル消費では社会の課題はなにも変わらないのでは?と思われているケースもあると思います。
社会課題になにか貢献したいと考えている人であればあるほど、エシカル消費の不完全さが気になってしまいます。
ここでいう不完全さとはある種のジレンマです。
ではここからはこのジレンマも考えながら、エシカル商品に継続使用させる魅力が薄い問題点について考えてみましょう。
エシカル商品に継続使用させる魅力が薄い問題点
エシカル消費は価格が高いという問題点
エシカル消費の価格が高すぎるという問題点
まずなんといっても消費には価格の問題がつきものです。
大量生産される大衆向け商品とエシカル商品を価格だけで見てしまうと2倍かもっと差が大きい場合もあります。
日本は比較的豊かな国ではあるのでこの価格差をうけ入れられる消費者層もいます。
ただ一般に広めるにはまだまだその価格差が大きすぎます。
これは突き詰めるとエシカル商品が従来のコスト圧縮型の生産とは異なる方法でつくられているからです。
材料にこだわっていたり丁寧につくっていたり、コスト以外のところに価値を見出そうとするためです。
エシカル消費の価格を下げられないという問題点
では仮に価格を下げられれば良いのかというとそう簡単ではありません。
商品が世に生まれ消費者のもとに届くまでには非常に長い連続したプロセスがあり多くの人が関わっています。
そして店の前で商品を売っている人ももちろんその一人です。
店に並ぶときの価格だけを下げてしまえば店の利益が減ってしまい、従業員の給料を下げなくてはならなかったりビジネス自体が難しくなるという問題点があります。
高すぎでも売れませんし安すぎるとサステイナブルではない。
エシカル消費はそんなジレンマを抱えた非常に値付けがむずかしい世界でもあります。
エシカル消費は機能性がイマイチという問題点
エシカル消費に品質が伴わない問題点
以上のようにエシカル商品は一般の商品に比べ高めの価格設定になっているものが多いです。
しかし中には価格が高いにも関わらず機能性が価格に見合わない商品もあるという問題点があります。
使い続けてもらうためには実用性が伴っていることが重要です。
例えば化粧品や洗剤でも、いくら社会や環境に良くても効果が感じられなかったり普段の2倍使わなければいけないという商品では消費者は満足できません。
エシカル消費の商品としての理想型
理想型は使い勝手がよく気に入って使っていたものが気づいたらエシカル商品だったというかたちです。
作り手の努力によるところが大きいですが、使い続けてもらうためには一定の品質をクリアしている必要があると言えます。
品質も追求しなければならないが価格もあまり上げられないという点が非常にむずかしいビジネスでもあります。
エシカル消費は手に入りづらいという問題点
エシカル消費が消費者の目に入りづらいという問題点
またなかなか見つけづらい、普段の買い物の動線に入っていないという問題点もあります。
エシカル商品がスーパーの陳列棚に並ぶことも少しずつ増えてきました。
またネットショッピングの普及により棚のスペースがないと露出出来ないという問題も改善されつつあります。
それでも日用品などはお店で買うという方も少なくありません。
やはり多くの人に手に取ってもらうには、普段の買い物の動線上にあるということが大切です。
エシカル消費の普及には売り手の意識と仕組みを変える努力が不可欠
消費者の立場ではあまり意識することがありませんが、メーカー間の陳列棚の獲得争いは非常に厳しい世界です。
棚のいいポジションを獲得できるのは規模の大きい企業の商品であったりすでに実績のある商品です。
スモールビジネスからうまれたエシカル商品がこのような世界で生き残るには、その商品の意味づけを売り手に理解してもらうしかありません。
売れやすいものを売る、という考え方から脱却し意味のある商品を売るという考え方が必要です。
でもこれを日々売上の数字に追われるような現場の判断で変えていくことには限界があります。
これも解決しなければならない問題点です。
経営者の判断で仕組み自体を変えていかないと、エシカル商品が一般消費者の手の届く場所にあり続けることは難しいのです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
これまでエシカル消費について考えてきた方も、いまの問題点や課題を考えるとでこれからの見方や行動が変わるかもしれません。
我々SIFではフィジーという国の社会課題にSDGsを切り口に取り組んでいます。
そしてエシカル消費はSDGsとも深いつながりがあります。
特にSDGs 目標12の「つくる責任 つかう責任」はエシカル消費そのものと言ってもいいくらいです。
独自の幸福論をもつフィジーとSDGsの関係についてはSDGsに取り組むだけでは幸せになれない?フィジーの幸福論が世界を幸せにするで紹介しています。
また、フィジーにおけるSDGs目標12の取り組みはSDGs|目標12|つくる責任 つかう責任|深刻化するフィジーの廃棄物問題で紹介しています。
また、我々がいま関わっているフィジーは、コロナで経済がボロボロの状況です。
もし皆さんの中に少しでもフィジーと関わりたい、という方がいらっしゃればまずはお気軽にご連絡ください。
我々が英会話プログラムを始めた想い
フィジーという国は観光業を主な産業としています。
ただ、今回のコロナウイルスの蔓延で観光客はほぼ0となり、多くのフィジー人が仕事を失っています。
この英会話プログラムは、そんな生活に苦しみながらも前を向いて生きようとするフィジー人たちと”英会話を本気で学びたい日本人”をマッチングして成り立っています。
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SIFの活動に興味をもって頂きもっと知りたいという方は一度ご連絡いただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考リンク:https://files.fairtrade.net/publications/2017-18_FI_AnnualReport.pdf