就活をするなら必須事項であると語られることもある、自己分析。
しかし、この自己分析という言葉は就活の時にしか使われませんよね。
さまざまな企業や就活支援サービス、本などで自己分析をするためのセミナーやドリルのようなものが世の中に出回っています。
中には、「自己分析など、意味あるの?」と疑問を抱く人も少なくないはずです。
意味がないと思うのは、自分を深掘りして理解する作業である「自己分析」の目的が就活に留まっているからではないでしょうか。
本来自己を理解し、内省することは、人生を前に進めるための大切な作業です。
今回の記事では、そのような就活のためだけにならない自己分析の方法が分かります!
それでは行ってみましょうー!
意味のある自己分析と意味のない自己分析とは?
単刀直入に言いますと、自己分析は意味があります。しかし、自己分析には意味がないのでは?という疑問を抱く人も少なくはないはずです。
まずこの章では、意味のある自己分析と意味のない自己分析の違いについて説明します。
その上で意味のある自己分析をするにはどうすればいいのかを、その次の章以降でお伝えしていきます。
意味のある自己分析はその後の人生にも活きてくる
まず、本来あるべき自己分析と、あってはならないにも関わらず多くの人が陥りがちな自己分析について説明します。
本来あるべき自己分析は、就活だけではなく自分の人生観までも見直したり、問い直したりする作業です。
今までの人生を見直しながら、客観的に分析したりそれぞれの選択の機会でなぜそれを選んだのかなどについて言語化していきます。
そうすれば、自分の新しい側面や本当に大事にしている価値観を見つけることができます。
なので本来、やらされてやるものではないし、楽しいはずです。
就活を目的にした自己分析には意味がない!
一方で、あってはならない自己分析とはどのようなものでしょうか。
それは、就活を目的にして自己分析をする場合です。
自分が行きたい会社や理想の自分があったとして、そこに合わせるように自己分析をしてしまうパターンです。
なんとなく自分の嫌いなところや弱いところを見過ごして、憧れとか、かっこよさとか、世間体が良い会社や自分像を思い描いてしまうことはあると思います。
それを念頭に置いて自己分析をすると、本当の自分や気づきには出会えません。自分のアウトプットが幻想に引っ張られてしまうからです。
自己分析が必要ないと思っている方々も、このような理想の企業や自分に合わせるためだけの作業になっていると感じているからではないでしょうか。
とは言っても、100%純粋な心で、自分と向き合って人生を問い直してみる作業とというのは難しいです。
しかも、時にこれは内向きになってしまい、言語化はできてもそれが社会にどう活かせるのかに繋げるのは、なかなか困難なことです。
内向きな思考の状態では、自分と深く向き合いすぎることで、思考がどんどん自分の中に留まるものになってしまいます。
ですので、次の章からはその悩みを解決するための方法をお伝えしていきます!
意味のある自己分析をする上で意識するべき考え方&それを実行するための具体例
前の章で、本来あるべき自己分析と、あってはならないにも関わらず多くの人が陥りがちな自己分析についてお伝えしてきました。
自己分析は、本来自分と自分の人生を見つめ直し、これからの人生でどんな風に生きていきたいか、エネルギーになっていくものです。
しかし多くの人が就活のためだけに、理想の自分を念頭に置いた自己分析になってしまいがちで、やった感だけで満足している場合があります。
また、内省すればするほど内向きになって、結局内省が社会に、将来に繋がっていかない、というような悩みもあるのではないでしょうか。
この章では、就活のためだけにはならないことに加えて、自分の将来に繋がる自己分析をするための方法と考え方をご紹介します!
意味のある自己分析は外向きベクトルで考える!
自己分析で大切な考え方は、過去を外向きベクトルで考えることです。
いざ自己分析や内省をしてみると、過去を振り返り、そのときどう思っていたのか言語化するだけで終わりがちです。
よくあるのは、「この環境のとき自分はこう思っていたな」とか「逆にあっちの環境のときはこうだった」など、具体個別でその時の感情や考えていたことを言語化することです。
このやり方は振り返りとしてはいいかもしれませんが、少し経ったら忘れてしまいます。
また、個別の事例に偏った言語化になってしまうと抽象化して自分の価値観や考え方の癖を見つけるのもむずかしいです。
これが、自己分析で得られた結果が未来に繋がっていかない原因なのです。
だからこそ外向きで考えることが必要です。外向きというのは、仕事や将来に歩みを進められるように考える事です。次のアクションに繋がるように自己分析していくと自ずと前向きに生きる力もみなぎってくるはずです。
では具体的にどうすれば外向きのベクトルで自己分析ができるのか?について説明していきます。
意味のある自己分析の方法と例:まず最初に自分史をつくる
自己分析は外向きのベクトルで考えるのが大切だと説明しました。次に、どんな方法を使うとそれがやりやすくなるか、お伝えします。
まずは、ライフライン(人生曲線)を書いてみましょう。
横軸は時間で、縦軸を感情の浮き沈みにします。時間の区切りは学年でもいいですし、「大学入学後」「受験前」など大きなイベントにしても構いません。感情のアップダウンはゼロを基準にしてプラスかマイナスか、そしてどれくらいゼロと離れているのかという描き方でやると分かりやすいと思います。
そして、それぞれ自分にとってのターニングポイントをピックアップして、なぜその選択をしたのか、そのときどんな気持ちだったのかを言語化していきます。
自己分析例:
- 中2-3で部活の副キャプテンになることを選択した。
- 理由は他の人からの推薦や、責任感から。
- しかし上手くいかなかった。
- 高3で文化祭の劇の主役を決める際に誰も手を挙げなかったので自分が立候補した。
- やってみたら案外楽しく、結果もとてもよかった。
- 大学1年生で友達に誘われたこともあって、国際系の学生団体に入った。
- 最初は受け身でモチベーションが低かったが、いろいろな機会に飛び込んだら知見が広がり、自分が興味のあることがなんなのか気づけた。
「うわー、就活のための自己分析でよくあるやり方だー。」と思ったそこのあなた!
正解です。
これだけでは、よくある自己分析と一緒です。
未来に繋がる自己分析はここで終わりではありません!むしろこれはメインではありません!
ここでかけ合わせて考えるべきなのは、自分がそのとき
- 「状況創造」
- 「状況対応」
のうち、どちらだったのかということです。
次章ではその2つの言葉の意味と、それらをどう活用するのか?について説明していきます。
自己分析を将来に繋がる作業にするための大切な考え方
ライフラインを描いて自分史をつくったあと、各ターニングポイントで「状況創造」と「状況対応」のどちらだったのか分析をすることを述べました。
次に、これらの言葉の意味と、この考え方を使って外向きベクトルの自己分析にする方法をお伝えします。
自己分析で自分史をつくったあと、これをしないと意味がない!
言葉の意味は以下の通りです。
- 「状況創造」
- 自分の意思によって意図的に行動を起こしたり、自分から積極的に選択したりすること
- 「状況対応」
- 外部の力によって起こる偶然の出来事に対処したり、受動的に選択したりすること
例としては、
- 「状況創造」
- 大学のサークルでメンバー同士の仲を深めるために交流会を企画した。
- 「状況対応」
- 大学のサークルで友だちに一緒に交流会を企画しようと誘われ、自分も関わった。
- 思ったよりも議論が進まないので、自分がファシリテーターを務めることにした。
などといったところです。
詳しくはこちらの記事の中の「あなたは状況創造、状況対応のどちらが得意ですか?」という章で、例と共に解説されていますのでぜひご覧ください!
ライフラインを書いた後に、自分の選択は「状況創造」と「状況対応」のどちらだったのかを考えてみましょう。そうすると、うまくいったときといかなかったとき自分はどちらの傾向があるのかが分かると思います。
それを基に考えられるのは、
- 自分がどちらの状況なら強みが発揮できていたのか?
- これからの人生で、あえて得意でない(強みが発揮できていなかった方の)環境に身を置いてみるのか?
です。
まず、強みと弱みは要素×環境で分析できます。なので、環境によって要素が活かされる場合とそうならない場合があるのです。活かされた場合強みになるし、活かされなかった場合、弱みになります。
なので、自分が「状況創造」ときと「状況対応」のときどちらでより自分の要素が活かされていたのかを分析してみましょう。
その次に、これからの人生でもまた自分の要素が活かされる環境に行くのか、それとも敢えてそうではなかった環境に行ってみて克服するのかを意識することができるはずです。
先ほどの自己分析例を基にすると、
分析例
- 小中高大すべてで、部活やサークルは誘われて入った
- しかし、すぐに辞めずにその環境で目の前のことにとりあえず取り組むことができていた。
- →状況対応の方が得意。
- 状況創造すらしたことがない。だから1回自分がその環境でどうなるか試してみたい。
- 今度、自分から学生団体でイベントを企画して、後からまた自己分析しよう!
- →あえて得意ではない環境に飛び込む
先ほどまで「うわー。」と思っていた方々、いかがでしょうか?こうすることで、人生曲線で人生を振り返る時間が未来に繋がる時間になるのです。
就活に留まらない視点を持てるのが自己分析
ここまで、自己分析を就活のためだけ、企業に合わせるような作業にならない考え方とやり方をお伝えしてきました。
過去を外向きのベクトルで考えることで将来に繋げることができるということと、具体的な方法として「状況創造」と「状況対応」のどちらが得意なのかを今までの人生から分析することです。
そうすることで就活の枠を超えて、自分の人生そのものを考えるきっかけになります。見据えられる時間軸とスケールが大きくなるため、その上で仕事や就活ではどうしていきたいのかが考えられるようになるはずです。
よって、就活では自分の一部分を見せている感覚になって、就活に全てを捧げて、選考に落ちたら自己否定をしてしまうような感覚には陥ることもなくなります。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
私自身、「自己分析」という言葉が、就活をする場にしか出てこないことに非常に違和感を覚えていました。
どうも「自己分析」は就活のためだけの言葉になりつつあり、多くの学生が企業に対して自分を論理的に説明してアピールするためだけの作業になりがちです。
現在、就活市場で「自己分析」が商品になっていると懸念される状況なのも、それに拍車をかけているのではないでしょうか。
そんな自己分析は楽しくありません。就活は人生を深く問い直すいい機会のはずです。
企業に合わせて自分を探っていくのではなく、どんな企業なら、環境なら面白く働けるのかを探っていきましょう。
これを読んでくださった皆さんが、将来いきいきと働けていることを切に願っています!