SDGs|目標11|フィジーが取組む住み続けられるまちづくりを

 フィジーでのSDGsの取り組みを知り、考え行動する、の知るの部分。まずは政府発行レポートの内容を出来るだけ忠実にお伝えしたいと思っています。

今回はSDG11がテーマですが、読んで頂くとここはフィジーがまだ力を入れられてない(構想中?)部分かなと思われるところが伝わってきます(笑)

 持続可能なまちづくりを考える際、フィジーが最も力を入れている住宅のサポートが必須であることは間違いありません。

しかしもう一つ重要なのは、住宅を得たあとに人々がそこに住み続けられるのか、家族を増やし生活できる環境が整っているかという視点です。

例えば、将来家族が安心して安全に生活していく上で子育てする環境はしっかり整っているのでしょうか。

女性や子供だけでなく、高齢者にとっての住みやすいまちづくりとは何でしょうか。

このような視点での議論や取組みについては、もう少し考える余地があるかも知れません。

フィジーのような新興国におけるSDGsの取組みはまだまだベーシックな範囲をしっかり行っていくのが最優先となります。

このレポートを読んで頂きながら、これからのフィジーのまちづくりに必要な部分、今回描ききれていない部分は何かを考えていただくのも良いかと思います!

また日本と大きく異なるのが、経済的・地理的な環境です。

急速な経済成長に伴う局地的な都市化はよく見られる現象ですが、安心安全で住みやすく持続可能なまちづくりはどれほど意識されてきたのでしょうか。

自然災害や気候変動と隣り合わせのフィジー人たちが、誰ひとり取り残さず住み続けられるまちをどのように考えているか見てみましょう。

目次

SDGs11:住み続けられるまちづくりの位置付け

 SDG 11は経済成長、健康問題、自然環境と全てにおいて重要な要素であり、フィジーの中長期的開発計画でも戦略的重要項目として扱われています。

現在フィジーでは急速は都市化が進んでおり2021年までには人口の56%が都市に住むと予測され、それに伴った新たな課題も生まれています。

活気ある持続可能なまちづくりに向け、政府は都市開発計画に力を入れることを宣言しています。

正式でない小さな集落がまだまだ多く残るフィジーにおいて、政府はそれらの集落をより良い形にし、配置転換を進めていくことで将来の住宅需要や自然災害からの保護、基本的なサービス供給に対応していく方針です。

持続可能なまちづくりに向けた取組み

住宅サポートによるまちづくり

 フィジーの人々にとって住宅購入はライフイベントの中でも最も大きな支出の一つです。

政府は市中銀行での借入・住宅購入促進支援、税優遇など様々なプランを用意しながら、低所得者でも住宅購入に手が届くよう施策を打ち出しています。

更には住居整備に向けた民間投資を促すために税優遇策を取り入れたり、初めて住宅を購入する市民に対しては特別な補助も用意しています。

white Home printer vase on white wooden board

貧困の課題に直面している世帯については、住宅購入支援-the Housing Assistance Relief Trust(HART)を設立し低予算で住居を確保することを可能にしています。

誰ひとり取り残さない安心安全なまちづくり

 障害のある人々について政府は、誰も取り残さないために、を念頭に障害者にも優しい建物やアクセスし易さを実現するためのファンドを用意しています。

正式ではない小さなな集落については、水道水、電気、衛生環境、廃棄物マネジメントシステム等をサポートするプログラムを導入してきました。

郊外都市計画については、助成金や町議会支援の体制つくりを通じて強化されています。

これらは郊外エリアをより都市化し、中央都市と同じ機会と設備を備える場所に変革していくことを目的に進められているのです。

ハード面でのまちづくり

廃棄物マネージメントの取組み

廃棄物の発生は、公衆衛生と環境に大きな影響を及ぼします。

180,000 t の廃棄物のうち70%は収集されますが、残りの30%については違法に廃棄されおり、特に小さな島国では廃棄物を回収するためのサービスすらありません。

2017年時点で回収された廃棄物の97.4%は埋立処理され、リサイクル出来たのはわずか0.4%でした。

政府は資金を投じ新たな埋立地を探すなど施策を打ってはいるものの、人々に環境問題を意識してもらったり、ゴミ箱の設置、法的整備や飲料容器のリサイクルの促進などやることは山ほど残っています。

公共の移動手段の取組み

 フィジーでは公共の移動手段が発達しており、中でもバスは主要な移動手段として利用されています。

2009年の移動機関官庁のレポートによると、国民の95%が公共の移動手段にアクセスすることができます。

また、車やタクシーも広く普及しています。

2017年時点で84,558台の自家用車が登録されており、タクシーやレンタカーは10,019台、バスは2,444台が登録されています。

コミュニティーを活用した安全安心なまちづくり

コミュニティーと安心して暮らせるまちづくり

 女性や子供への暴力。

どちらも国の発展において、決して許されない大きな妨げです。

暴力と闘うステークホルダー、コミュニティーメンバー達とも協力しながら暴力のない社会に向けた活動を政府はひろめようと取り組んでいます。

このような暴力に対して、政府は暴力から完全に解放されたコミュニティーを目指すプログラムを設立しました。

コミュニティーを作っていくことは住民の人生の豊かさにとって非常に大きな構成要素となります。

例えばレクリエーション施設は人生の豊かさを育む貴重な場所ですし、郊外の住人たちの生活や仕事を支え経済発展に役立っています。

この様な場所や未来に向けた活動を行うことによって、若者たちにコミュニティーにとどまってもらえるようにもなります。

通りを渡る人々

安全なまちづくりと気候変動対策

 フィジーは海に囲まれた国なので、珊瑚礁に囲われているとはいえ津波の危険とは常に隣り合わせです。

津波の危機に備え、首都圏に13箇所に津波時のサイレンを設置し災害時に備えています。

2016年のサイクロン Winstonでは特に郊外の集落に大きな被害が出ました。

気候変動や災害に特に弱いこの様な人々を守ることは非常に優先度の高い項目です。

フィジーは、国際連合人間居住計画や地域の組織の協力のもと、16の集落の合計6,242人が住む危険域を対象に最初のFundを設立しました。

この水平的・垂直的に統合されたプロジェクトは、コミュニティーや物理的、自然的、社会的エコシステムを強化すると共に、女性や先住民、障害者などの特別な支援が必要な人々も誰1人取り残さないプロジェクトである必要があります。

未来に向けたまちづくり

まちづくりの今後の課題と方向性

 政府による後押しにより都市化は進んでおり、海外機関の協力のもとマスタープランも作成しています。

それでもなお住宅は十分とは言えず、低所得者層はインフラが不十分で災害リスクも高い郊外の集落を出ることができません。

より気候変動や災害に強い都市インフラをつくっていくためには、都市適応計画を改善することや、長期的な気候変動の予測を都市計画の中で考慮していく必要があります。

asphalt road between trees


将来に向けたまちづくり

 またフィジーには、現代世界のマネージメントシステムに適応したまちを実現していくための、スマートシティプログラムを開発する力があります。

このスマートシティの開発により、環境エネルギー、まちの緑化、環境に優しい移動手段、セキュリティ、グリーンビルディング、廃棄物マネジメントの技術革新を促すことが出来ると考えています。


まとめ

いかがでしたでしょうか。

決して人口の多い国ではなくコンパクトであっても、そこには都市と郊外のバランスの問題や、コミュニティーの活用といった他国と同様の課題があるのは同様です。

中心地の人びとが住みやすいだけでなく、郊外との繋がりや環境面の配慮がしっかりなされている安心安全が保たれたまちづくりをフィジーは目指しています。

その一方でまだまだ数値的な目標が弱く、今後もう少し具体化が必要かと感じます。

気候変動や自然災害、海洋保全やエネルギーといった元来特にフィジーと結びつきの強い分野には非常に力を入れた取組みと解説がなされていますが、今回のSDGs11では情報にやや偏りがありました。

国の状況が違う中で共通のゴールを設定しているので、このようなところに取組みの特性が出るとも言えます。

これからに期待!!

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