皆さんはフィジーという国が、気候変動対策において非常に先進的な国であるということをご存知でしょうか。
フィジーは経済的にも小規模であり、美しいビーチやリゾートのイメージしかないという方も多いかも知れませんが、実は気候変動対策については国際的なロールモデルになるほど力を入れている国です。
そこには過去の自然災害の犠牲者や甚大な被害、経済損失が今も国の根底にあると共に、これからも気候変動の影響を強く受けながら付き合って行かざるを得ない事情があります。
この記事ではそんな気候変動対策における先進国であるフィジーが、いかにSDGs13に取り組んでいるかをご紹介します!
SDGs13: 気候変動対策で取り組むべき課題
小さな島国であるフィジーは、気候変動の影響を最も受ける国の一つです。
気候変動と向き合っていく上で、建物の強度や適応度は何をおいても最優先となります。
自然災害はサイクロン、高潮、激しい暴風雨、洪水、地殻変動、干魃、極高低温ど、様々なものがあります。
フィジーでは2000年から2016年にかけ、41の気候変動による災害が発生しており、237名が命を落とし160万人に影響しFJ $3.2 billion (¥1,600億)の損失が発生しています。
さらには熱帯低気圧と洪水は毎年約25,700人の人々を貧困に追い込んでいます。
自然災害は広範に及ぶ破壊や経済損失をもたらすだけではありません。
災害からの復興への重圧や、海抜上昇などのより長期的な問題をも引き起こすことは深刻な問題です。
国内だけでなくグローバルなSDGs13への取り組み
SDGs13への取り組みが評価されCOP23の議長に就任
フィジーの気候変動対策は様々な国際的な政策や会議への批准を通じて実証されています。
2017年には国際気候交渉COP23の議長に就任し、フィジー人だけでなく太平洋全体の気候変動に対する正義を追求する取り組みにおいて、重要な進歩を示しました。
その中では海洋や気候の連鎖に対する意識づけを行うと同時に、健全な海洋が小さな島の発展における持続的な生活にとって、いかに大切かを提唱しました。
フィジーは気候変動への適応気候変動はこの時代において、おそらく最も複雑なチャレンジであるということをしっかり認識し、気候変動や災害をより理解し影響を緩和していくための改革や計画、制作変更に取り組んできました。
フィジーの中長期的開発計画はパリ協定に基づいており、この目標を全て達成していくことが出来れば、気候変動に適応しあらゆる分野での防衛手段を身につけることが出来ると考えています。
NAPによるSDGs13への更なる取り組み
フィジー政府は近年、より強固なフィジーを作っていくために、国の適応化計画(NAP)を設けました。
NAPは気候変動に対する強さだけでなく、様々な開発の成果ー例えば気候変動に強い桟橋や他の島国での交通インフラのサポートなども含んでいます。
この活動は、特に災害時における安全やフィジー人の結びつき、また経済活動の再開や機会を確固たるものにすることを優先しています。
SDGs13: 気候変動への取り組みにおける国の役割
フィジー政府は気候変動や自然災害からもたらされるリスクに対して大変な努力をしてきました。
予算に占める対策費は2013年の3.74%から2016-2017年には9.85%に大きく増加しました。
この費用はダムの建設や海岸侵食、洪水リスク緩和に向けた環境評価、早期警鐘、川の増水レベルを遠隔でしっかり感知する降雨測定器などの導入に使われています。
このように様々な対策を行なっている中で、コミュニティも変化を余儀なくされました。
2014年には海域の上昇によって村を丸ごと移動するという苦渋の決断もしなければならず、これからもその数は増えていくでしょう。
SDGs13:気候変動への取り組みに向けた財政と投資
SDGs13への取り組みの要となるプロジェクト立上げ
フィジーで最も大きな気候変動対策に関する投資は都市水供給と排水管理システムです。
フィジーは都市水供給と排水管理システムの発展に向け、アジア開発銀行やグリーン基金と提携しGreater Suvaエリアの300,000人以上もの人をサポートするプロジェクトを計画しています。
このプロジェクトは2025年の完成を目指し、実にUS $405 million (約420億円)が投じられています。
フィジー政府はまた水路に関する省庁を設立し、洪水や気候変動がコミュニティにもたらす脅威に向けた対策をとっています。
NDCsで定めたSDGs13への取り組み目標
気候変動の軽減フィジーは世界全体の二酸化炭素排出の0.006%しか占めていませんが、それでも2030年までにエネルギー分野における二酸化炭素排出30%減という国で定めた高い目標-Nationally determined contributions(NDCs)に取り組んでいます。
このうち10%は緑化構想に基づき無条件で目指すもの、20%はUS $500 million (約525億円)と推測される外からの基金に紐づく条件的なものです。
フィジーはこの高い目標に向けて、100%再生可能なエネルギーの創出と経済全体でのエネルギー効率向上に取り組んでいます。
SDGs13:気候変動対策に向けたパートナーシップ
再生可能エネルギーの潜在的な可能性と目標達成に向けて、フィジーはレオナルド・ディカプリオ基金をはじめとする様々なパートナーと共に非営利の郊外電力化基金(FREF)を設立しました。
フィジーは2015年、気候変動や災害リスク管理に対する公共支出、民間支出がいかに国の予算プロセスと連携しているか、またどのように国内・海外の資源をうまく取り込んでいけるかについて見直しレポートにまとめました。
海外・国内から気候変動対策に資金が流れるよう税優遇を行い、例えば電気自動車の購入には55%の税優遇が適応されます。
また2017年にはフィジー政府はFJ$100 million (約50億円)のグリーン債券を発行しています。
これは気候変動対策のプロジェクトに使われ、例えば郊外の水資源の確保、雨水を貯め活用するプログラム、サイクロンでダメージを負った学校の再建と修復などに活用されています。
SDGs13: 気候変動への取り組みにおけるこれからの課題
SDGs13達成に向けた資金集め
フィジーの気候変動への対策がもたらす効果は、全世界で見ると非常に小さいです。
しかし一方で、気候変動がもたらす災害はすでにフィジーの社会経済に深刻なダメージを与えています。
間違いなく、この脅威に対して世界的なアクションをとることが求められています。
小さな島国であるフィジーはもともと限られた資金しか気候変動対策への割り当てがなく、しかもそれは自然災害によってもたらされる経済損失にも当てなければなりません。
従って、フィジーはあらゆる資金調達の可能性を探るしかありません。
政府が民間投資を呼び込もうとする一方で、この分野の限られたリターンと高すぎるリスクが障壁となり限られた効果しか出せていません。
気候変動対策プロジェクトを資金調達可能なものにしてしていくことが、非常に大きな直近の課題です。
今後の気候変動の対策として、政府は保険市場に入っていくことによってリスク耐性を強化していくことを検討しています。
気候変動の対策は対象範囲が多岐にわたっており、全てのガバナンス体制に関わる意思決定となっていく必要があります。
SDGs13達成に不可欠なデータ獲得への取り組み
また、省庁に関わる部分の制度の改定や技術面での能力を高めていくことはデータの統一性を高めていきます。
災害対策、それにまつわる政策や戦略立案時の意思決定に際して、高品位で信頼性のあるデータに基づいた主要な計画と開発を持ち合わせることも非常に大切です。
そのためには現場からボトムアップで国内や海外からのサポートが適切なのかを監視・レポート・判別していく強固で透明性の高いシステムを作り上げていくことが必要です。
SDGs13達成に向けたコミュニティーでの取り組み
もう一つの重要な要素は地域のコミュニティーの活動を活性化していくことにあります。
いくつかのコミュニティーが建築物における容量と耐久性を高めていくことに貢献してきましたが、もっと強力なサポートを促し気候変動対策に動員していく必要があると考えています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
フィジーが気候変動対策をSDGsの最も上位に置く理由と、その取り組みを理解頂けましたでしょうか。
年々災害リスクが高まっていく中で、やはり基本的な生活を送れるという安心・安全がなければその先の未来も霞んでしまいます。
まずは人々の安心・安全を、そしてフィジーだけでなく世界に向けても発信し協力していくことで、フィジーは益々国際的に注目される国になっていくかも知れません。